住民税非課税世帯と給付金

IT導入補助金2023の後期交付申請が8/1に始まったこともあり、最近は補助金・助成金(※1)関係の記事をよく目に通すようになりました。種類は思った以上に豊富なのですが、オンラインだと探しにくい印象を受けました。不正受給を防ぐためとはいえ、このご時世では役所に行く前に自分で調べたいという人も多いだろうに。
必要な人が必要な時に探して支援してもらえる仕組みづくりを、行政主体で行わなければならないと強く感じます。

閑話休題。
今回は補助金関係の中でも「住民税非課税世帯」が給付対象となっている助成や支援についてまとめてみたいと思います。まず、「住民税非課税世帯」となる条件は下記の1~3のいずれかに該当する場合です。

住民税非課税世帯の条件

  1. 世帯全員が住民税非課税であること
    住民税には所得割と均等割がありますが、ここではお住いの地域に居住する人が同じ額を払う「均等割」が非課税である、ということになります。後述しますが、課税対象がお住いの地域によっても異なることがあるため全国一律の課税条件とはなりません。
    住民税は、前年度の所得の多さで決まるということだけ、頭の片隅に留めおいてください。
  2. その年の1月1日現在で、生活保護の規定による生活扶助を受けていること
    生活保護申請書類のサポートを行うことが出来るのは弁護士と行政書士です。各自治体の窓口で聞いても分からない場合や、窓口に行けない場合は専門の士業にお任せください。
  3. 未成年者、ひとり親、障がい者の方で、前年の合計所得が135万円以下であること
    ただし未成年者でも婚姻している場合は成年とみなされますので注意が必要です。

住民税非課税世帯の割合は、2021年時点で日本の全世帯数の約23%程度でした。4分の1の世帯が住民税非課税世帯になる計算ですが、年代別に見ると70代以上の高齢者世帯が圧倒的に多いようです。
住民税非課税世帯になるための手続きは、上記の1と3の場合は特にありません。これは前年度の所得によって自動的に決まってしまうためですが、逆に言うと「今年になって急に困窮した(から住民税が払えない)」という理由であるならば2の生活保護の手続きや家計急変世帯の申請手続きが必要になるということです。

【最新版】気になる助成や給付金は?

地方自治体による給付が多いこともあるため、お住いの市区町村のサイトを見ていただくのが確実かとは思いますが、2023年8月時点で有効と思われるものを下記に列挙します。

  • 電力・ガス・食料品等価格高騰緊急(臨時)支援
    2023年3月の発表で、2022年に引き続き新たな支援策として、住民税非課税対象などの低所得世帯に一律3万円を目安に、子育て世帯にはさらに子ども1人あたり5万円を給付する方針が発表されました。
    名前の通り物価高騰の対策として打ち出されており、対象の方には封書やはがきが届くことが多いようです。間違って捨ててしまわないようにしてくださいね。
  • 0~2歳児にかかる幼児教育・保育の無償化
    3~5歳児は2019年より一律無償化(※2)されていますが、0~2児については対象外となっているのが現状です。住民税非課税世帯の場合は、0~2歳児についても無償化の対象となっています。
  • 高等教育就学の支援
    住民税非課税世帯の場合、大学無償化制度を利用できる可能性があります。令和5年時点で3,000を超える制度対象校があり、入学金の免除や授業料の減額など、高等教育を受けるための費用を軽減することができる制度です。
    JASSOの給付型奨学金などと合わせて、これからの世代の借金を増やさない方法で高等教育が受けられる施策が増えることを切に望みます。
  • 国民年金保険料、国民健康保険料の軽減措置
    住民税と国民健康保険税の計算方法は異なるため、住民税が非課税のかたにも国保税はかかってしまいます。ただし、世帯の前年所得金額が一定の金額以下であれば国民健康保険料の均等割額が減免されることがありますので、お住いの地域の基準額をお調べになるのが良いでしょう。
    なお、保険料の免除や軽減自体は住民税非課税世帯の方でなくても申請可能であることや、地方税法施行令によってお住いの地域の軽減判定基準額が変更されている可能性がありますので、一度確認されることをお勧めします。
  • 医療費負担の軽減措置
    1ヶ月の医療費が高額になった場合、医療費が一定の額(自己負担上限額)を超えると超えた分が支給される高額療養費制度と呼ばれる制度があります。自己負担上限額は年齢や所得に応じて変わりますが、住民税非課税世帯では自己負担上限額が低く設定されているので、病気やケガなどで治療費や薬代などがかかっても医療費負担が軽減されます。
  • 介護保険料の軽減措置
    介護保険料の計算の方法は、健康保険と国保で異なります。健康保険の場合は当該年の収入(月収入と賞与等)に応じて保険料率を計算しますが、国保の場合は前年の所得を基に計算します。受給者世帯の状況に応じた段階が設けられており、その段階によって保険料が決定しますが、今後も高齢者の住民税非課税世帯の保険料が予定されているようです。

いかがでしょうか。ご自身の世帯状況や世帯所得を計算した結果、もしくは離れて暮らす親族や友人の生活の向上を図ることができる支援がある場合は、一度「お住まいの市区町村 助成金 非課税世帯」で検索されてみることをお勧めします。

そしてここからは私個人の考えですが、補助金や給付金が本来持つ性質は「特定のプロジェクトを達成するための金銭的支援」です。もちろん、上記の支援は公的扶助(国民の健康と生活を最終的に保障する制度)に括られるものではありますが、支援というものは受給者の環境の向上のために行われており、受給者はその目的を達成するために最善を尽くすこと、つまりは受給者が健康で文化的な生活を送ることこそがプロジェクトの達成であるという認識です。

この記事の最初に「必要な人が必要な時に探して支援してもらえる仕組みづくり」という言葉を使いました。それはオンラインで検索がしやすいようにというだけではなく、上記の仕組みの中に私利私欲のためのバラマキであったり、不正受給者が存在したり、単に前年度の所得だけで見て決めないようにしてほしかったり、ちょっとした所得差で支援が受けられなかったと嘆く人を作らなかったりすることも含まれています。要望が多い。

綺麗事のように聞こえるかもしれませんが、本当に必要な人が「ずるい」と言われないような社会を求め続けたいものです。

※1 助成金と補助金の違いとは?

助成金

対象者や対象活動などの基準を満たしていれば、ほぼ100%受給できます。

申請期間も長期間に渡り、随時募集されていることが多いため、受給しやすいといえます。

補助金

基本的に企業の事業をサポートするものであるため、予算が限られていて、定員も設定されています。

補助金が出るのは申請からかなり後になるため、それまでの資金繰りは別途行わなければならず、また採択されない場合もあります。

※2 幼児教育・保育の無償化について

子ども・子育て支援新制度の対象とならない幼稚園については、無償化となるための認定や、市町村によって償還払いの手続きが必要な場合がありますので、お住まいの市町村にご確認ください。

https://www8.cao.go.jp/shoushi/shinseido/musyouka/gaiyou.html