~身元保証、エンディングノート、信頼できる人の探し方~
最近、当事務所のホームページに「身元保証代行について知りたい」というご質問が寄せられました。
このご相談を通じて、「ひとりで生きて、ひとりでその時を迎える」時代に、終活をどう考えればいいのか、また行政書士として何か手助けできることがあるのか、改めて考える機会になりました。
注目のドラマ『ひとりでしにたい』が問いかけるもの
2025年にNHKで始まった綾瀬はるかさん主演のドラマ『ひとりでしにたい』。
「おひとりさまの最期をどう迎えるか」を描いたこのドラマは、年代を問わず、どこか心に引っかかるテーマではないでしょうか。
一生楽しめる趣味があって
仕事も推し活も楽しくて
一人で住むには十分な家と
ペットが居て
親もまだ健在で。
「終活って、まだ早いかな…」そう思う方も多いと思います。
でも、実際にご相談をくださった方のように、“元気なうちに少しずつ備えておきたい”という声は、確実に増えています。
これはまさに、行政書士としてお手伝いできる「予防法務」のひとつだと考えています。
今回のブログは、そんな予防法務を、少しだけ一緒に考えてみる場にしていただけたらと思います。
ところで「身元保証」と「身元引受」のちがい、ご存じですか?
ご相談で使われていた「身元保証代行」という言葉ですが、実は意味を取り違えている方も少なくありません。
呼び方 | 主な役割 |
---|---|
身元保証人 | 契約時の金銭的な保証をする人や会社(施設入所などで求められることがあります) |
身元引受人 | 緊急連絡先として、入院や生活支援などを担う人(家族や信頼できる知人など) |
成年後見人 | 判断能力が低下した方に代わり、財産管理や生活支援を行う法的な代理人(家庭裁判所が選任) |
「自分はどの支援が必要なのか」「誰にどこまでお願いできるのか」
この点を整理しておくと、終活はぐっと安心なものになります。
特に知っていただきたいのは、身元保証会社と契約していても、当然に入院の手伝いをしてくれるわけではないことです。
終活団体に入る前に確認しておきたいこと
最近では「おひとりさま終活」をサポートする団体も増えてきました。
ただし、入会時に高額な一括払いが必要な場合もあり、再入会が難しいケースもあります。
加入を考えるときは、次のような点をぜひチェックしてみてください。
- 自分の住んでいる地域に根ざした団体かどうか
- 実際にその団体に入っている人が身近にいるか
- 入会前に丁寧な説明や相談ができるかどうか
一度しか選べないものだからこそ、焦らず慎重に。
時間をかけて納得できる選択をすることが大切です。
終活の第一歩は「エンディングノート」から
「何から始めていいか分からない」
──そんな方におすすめなのが、エンディングノートです。
私自身、日本葬祭アカデミーの二村先生にお話を伺ったことがあります。
「エンディングノートは、死の準備ではなく“自分らしく生きるための手段”です」と話されていました。
ノートに自分の考えや気持ちを書き出すことで、
「自分が本当に大切にしたいもの」
「信頼できる人に託したいこと」
が自然と見えてきます。
まずは紙1枚でもかまいません。
思いついたことから、気軽に書いてみてください。
デジタル遺言って安全なの?
最近よく耳にする「デジタル遺言」ですが、現時点ではまだ法律上は正式な遺言として認められていません。
法的に有効な遺言には、現在は次の2つがあります。
- 自筆証書遺言:自分で書く遺言書(家庭裁判所での検認が必要)
- 公正証書遺言:公証人と証人の立ち会いのもと作成(法的な強さがある)
とはいえ、デジタル遺言はこれからの新しい遺言の形として注目されており、試験的な仕組みが各地で模索されています。
▶ 東京新聞:デジタル遺言の試案について
トラブル防止のためには、正式な手続きとの併用が安心です。
誰かに相談したいときは、お気軽に
終活や身元保証のことを、ひとりで考えるのは大変ですよね。
でも、誰かに話すだけで、少し心が軽くなることもあります。
「ちょっと気になっているだけ…」
「まだはっきり決めてないけど…」
そんな段階でも大丈夫です。
当事務所のお問い合わせから、いつでもお気軽に今の気持ちをお聞かせください。